沼宮内稲荷神社例大祭岩手町秋祭り2010
…これぞ沼宮内の山車。の組の山車。
上手さと上手さのぶつかり合い、解釈と解釈のぶつかり合い、
一通りの見事さでない見事さが、5台の山車から溢れ出ている…
蝦蟇に大蛇と 蛞蝓変化 怪奇三竦み 珠玉編
(見返し)いとも艶やか 綱手の術は 花の舞台に 色誘う
山車全体から醸し出される、古式と「本物感」。
後続の山車がみんな、この迫力に喰われてしまいました。
綱手姫は児雷也の奥様で、
大蛇の嫌うナメクジの妖術を使う美女。
パレードでは、大きなガマが煙を吐きまくりました。
観客みんな、大喜び。
きっと沼宮内の子供たちは、大人になってもこの山車のこと、覚えてるだろうなあ…。
姦計裏切り 鬼畜の所業 怨み景清 牢を貫く
(見返し)染めてうれしや ゆかりの色に 「いとし」と書いて 藤の花
平家滅亡後、敵の源氏の世で平家の意地を通した悪七兵衛景清。
勇ましく、かつ悲壮な牢破りの荒事。
盛岡山車の定番見返しのひとつ、大津絵から抜け出た藤の精の舞姿。
昔は牢やぶりにも様々な型があったのですが、
最近は専らこのポーズに限られるようになりました。
梅も桜も 花散る中に 松の緑を 車引き
(見返し)しばれ雪降る 水辺のほとり 白鷺一羽の 恋心
沼宮内では久々の登場?もしかして初?
松王丸と梅王丸、吉田社前の睨み合い。
雪中に舞う白無垢の生娘は、
乙女の悲しい恋心を映す、一羽の手負いの鷺。
変化舞の出だしの場面を粋に再現。
山車人形の存在感に、時を忘れて見入ってしまいます。
猛る姿は 歌舞伎の十八番 獅子の精なる 鏡獅子
(見返し)鏡開きに 弥生の舞で 牡丹も香る 春の宵
鏡獅子は「新歌舞伎十八番」のひとつで、盛岡山車でも定番の演題。
…でも、今回のような構図は初めて。片足が上がると、ぐっと軽やかになります。
見返しは鏡獅子の前半の舞台の様子。
腰元の手にした獅子頭が、後々表のような獅子に化ける。
鏡獅子は髪のボリュームを出すのがなかなか難しい。
この山車では豊かな量感に長さ、
きちんと背中に垂れる髪まで作られていました。
三井の寺鐘 比叡に奪い おごる弁慶 武蔵坊
(見返し)牛若弁慶 主従の誓い 五条の橋の 月明かし
僧兵姿の釣鐘弁慶は、岩手町ならではの工夫です。
見返しは、師匠どころ直伝の牛若丸。
今年は珍しく、表裏一体の多い年でした。
横から見ると牛若弁慶がつながって、白頭巾が効果を発揮。
(パレード出発点描)
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