青森県上北郡野辺地町 野辺地祇園まつり 平成24年8月19日撮影
 

平成24年 野辺地山車祭

 


 野辺地祇園祭の山車は、青森県南部地方の数ある人形山車の中でも特に異彩を放つ姿をしています。お祭りの様子を収めた写真とともに紹介します。

野辺地祇園祭最終日の、中心街山車展示の様子である。ここで行列は解散してお神輿は神社に帰り、山車はしばらくの休憩の間観客に解放される。一番手前の山車は『仁田四郎忠常』で、富士の巻き狩りで猪を仕留めた晩、洞窟で富士の神霊に合う場面である。非常に出来がよい


野辺地駅前にある物産館の入り口内側に、祇園祭最優秀賞を勝ち取った人形飾りが一年間展示される。ポスターに使われる写真も、この最優秀作品である。実物を前にカメラを構えても、なかなかポスターのように上手に撮れない(笑)。上杉謙信が竜神と毘沙門天の加護のもと、川中島に出陣するという創作場面


これが運行中の野辺地山車である。ご覧の通り、上々の出来栄えである。特にも人形の面持ちが、場面に合ったように使われているのが素晴らしい

〜趣向について〜



野辺地山車の隊列。まず先頭に花馬簾が歩き、その後を「神楽」が歩く。神楽は岩手でいう「太神楽」のことで、舞は無くお囃子だけ、たまに『しゃくし舞』が披露される。神楽の音量が大きいため、山車の引き綱が目の前を通っていても、聞こえるのは祇園ばやしではなく、この神楽のお囃子である


野辺地独特の絵の見返し、更新性が無いものもあるようである。この組は『静御前と源義経』を描いている。皆このように、岩場に絵を掛けたような飾り方にして周囲を花々で飾る


人形が付く見返し。このときは、この組のみであった。『種まき権兵衛』や『雨の五郎』『狐忠信』などを見た記憶がある


野辺地の山車は「二段欄干高覧型」といい、欄干が2段で一段目はお囃子、二段目に人形飾りを作る。一番目を狭くするとお囃子方が入らないので、山車が電線にあわせた高さになった際に飾り部分が小さくなったのではないかと推察している。もう少し南に下ると、お囃子方が欄干の真下でなく外側に出てくるのは周知の通り。山車の趣向は『空海』


人形の面持ちをアップで。手の出来栄えと合っていないが、なかなかいい顔である。このようないい人形が野辺地にはたくさん残っているので、山車もおのずと他に無い風格を宿す。ちなみに趣向は『西遊記』である


山車が奉納される野辺地八幡宮、通りから大きな鳥居と周囲の提灯がみえる。出店は神社の中に出ていて、大きな注連縄が納めてあった。右を歩くのは「馬門熊野神社能舞」で、下北の能舞とよく似たお囃子で舞う




文責・写真:山屋 賢一

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