301年目の盛岡の山車、平日開催ながらたくさんの観衆を集めました。
今年は創作よりも原点回帰・復刻の趣の強い山車が多かったように感じます。
お 組【 二人石橋 / 大黒天】
花の王なる 牡丹の色に 狂う姿の 勇ましさ
(見返し)今年は豊年 大黒様よ 小槌片手に 舞い踊る
※演題項・前作※
神のかけたる石橋踏まえ 赤に真白の髪を振る/深き御山の霞の中に 獅子の織り成す夢幻能
…深山幽谷で客僧が見た、文殊の遣いの舞姿。
の 組【四つ車大八 / わんこ娘】
見るも勇まし 化粧の車 義侠美談で 名を残す
義理と情けを 両手に込めて かざす大八 四つ車
※演題項・前作※
命知らずの鳶衆に向けて大輪を投げつける、
伝統の勇みの姿。
城西組【和唐内 / 呉将軍 甘輝】
千里の竹槍 猛虎を突いて かざす刃と 伊勢の札
(見返し)妻の願いを 拒みし甘輝 忠義に悩みし 獅子ヶ城
※演題項※
皇太神の護符を額に掲げた和藤内、竹槍で胸板を貫かれた虎、中国将軍の見返し…
盛岡山車史上最も殺伐とした、創意あふれる千里ヶ竹。
い組【暫/ お小姓弥生】
七尺余りの 大太刀佩いて 素襖の袖に 三枡紋
ほまれ景政 悪行懲らし 義綱救う 鶴ヶ岡
※演題項・前作※
顔に紅の牡丹の隈を取った歌舞伎十八番の名場面。
八幡町い組伝統の歌舞伎山車。
見返しは、昔は『鏡獅子』と題が付いた。
盛岡観光協会【暫/ 小野道風】
六尺四寸の 大太刀肩に 引くや花道 団十郎
(見返し)小野道風 柳が池に 書道精進 誓う雨
※演題項※
い組に対抗して、こちらは花道下がりの暫。
肩にかけた太刀の長さを強調する構図。
見返しには平成6年以来の小野道風、非常に上品で落ち着いた色合い。
一番組【新田義貞 / 花咲爺】
帝の仁臣 目指すは北条 稲村ヶ崎で 義貞公
戦勝祈願に 投ぜし剣 稲村ヶ崎の 汐開く
※演題項※
古風な浜辺の景を見事に生かした伝統の武者もの。
今回は昭和40年代のせり上げ式新田義貞を再現、
門付けの他、大通りパレードではほぼ上げた状態で運行しました。
さ組【碁盤忠信/ 白拍子 静】
萬妥の櫻に 勝れる譽れ 忠信鬼神の 花矢倉
(見返し)判官贔屓が 自慢の花よ これぞ静の 舞姿
※演題項・前作※
今回は背景の御殿を吉野山の桜の木に置き換えた創作山車、左側に大胆に桜を咲かせました。
牡丹を減らして黒岩を増やし、梅と紅葉は黒岩から生えたような独特な飾り方。
め組【川中島/ 八重垣姫】
竜虎あいうつ 川中島の 川霧切って 太刀白し
時は永禄 四年のなかば 思いは遥か 古戦場
※演題項※
戦国最強の二人が朝靄の中にまみえる名場面。
大将自ら先陣を切る謙信の気迫と、物怖じもせず軍配を取る信玄の度胸。
見返しには平成に入って初登場の女人形を。