歌舞伎十八番 矢の根/歌舞伎十八番 外郎売 (盛山会さ組)

兄の危難を 知らせる夢に 矢の根担ぎて 勇み立つ
妙薬ういろう 拗らい咳に 早口言葉の 花が咲く
●ういろう売り
市川団十郎がのどの難病を患ったとき、小田原名物の万病に効く薬「ういろう(外郎)」を服用し、完治した。団十郎は恩返しに「ういろう売り」という芝居を作り、小田原のういろうを宣伝した。現在、歌舞伎十八番のひとつに数えられる外郎売は、服せばたちまち痰が切れて早口になるというういろうを行商が客前で飲んでみせ、流暢な早口言葉を披露するという楽しい演目である。山車の人形に取り上げられた例は、県内外を通じて今回が初めて。

三国志 関羽/諸葛孔明 (中屋敷町 城西組)

劉備・張飛と 誉れを競う 義将関羽の 一騎駆け
天下三分 奇策に賭けて 漢の再興 夢を追う
●レッドクリフが流行りました
ちょっとした三国志ブームの今年、関羽は三国志でも指折りの英雄で、主人公劉備玄徳の義兄弟。人並みはずれた武勇で次々に強敵をなぎ倒し、劉備の理想である漢王朝復興に尽くす。赤兎馬は三国一の駿馬、赤い汗を流して風のように戦場を走ったという。そもそもは悪漢董卓の愛馬で、呂布はこれを手に入れるため董卓に寝返り、呂布が討伐された後は曹操の手を経て、豪傑関羽に与えられた。義に篤かった関羽は「信用取引」の商売の神様として、今でも中国の祠に祀られている。諸葛孔明は劉備に三顧の礼で迎えられた天才軍師で、魏の曹操に降伏しかけていた呉の国を立たせ、天下三分の計で漢王朝復興のチャンスをさぐる。進行方向を山車の真正面にすえた、大人形の力作であった。

南部盛岡藩主 南部重直公/八島官女(油町 二番組)

南部盛岡 お抱え火消し 背なに輝く 向かい鶴
やつした海女の われ身の上は 八島官女の 黒髪や
●碇知盛の見返しにぜひ
八島とは「屋島」、戦に負けた平家方の官女、もとは都の貴婦人が海女に身をやつす浜辺の情景。薙刀を手にし、髪を振り乱した官女は美しく、かつ凄まじい。長らく盛岡山車には出てこなかった女人形であり、碇知盛や景清など、敗れてもなお気高い平家の武者の見返しに、今後も登場してほしい。


語り継がれし 八岐の大蛇 神の剣で 打ち倒す
担ぐ天秤 朝顔売りの 粋な掛け声 涼を呼ぶ
●物売りの見返し
行商は人目を引くような目立つ格好をしているので、山車人形には意外に向く素材である。観光協会でもかつて、花売り娘や飴売り、小鳥売りなどを飾ったことがある。今回は朝顔売り、朝顔の鉢を天秤にかけて売り歩く涼やかな姿。鉢の朝顔は色とりどりで、開いたものも、蕾もある。行商の着物にも朝顔が。背景は水浅黄にスダレ、盛岡では秋祭りが過ぎると急に寒くなるから、お祭りに揺れる朝顔売りの量感はひときわ、盛岡に爽やかな印象をとどめた。

寿曽我 対面/三浦屋 揚巻 (長田町 三番組)

かざす島台 寿く曽我に 鶴と亀とが 舞い遊ぶ
祐経情けは 狩場の手形 逸る心を とどめおく


色もゆかりの 紫かむり 梅香の匂う 春の雨
梅の匂いか かむろの紅か 花の吉原 宵に咲く

暫/椀こ娘 (中の橋通り の組)

紫白の 襷は仁王 顔に紅隈 車鬢
弱きを助け 強きを懲らし 歌舞伎のしばらく 名を残す
南部火消し 纏振り/梯子乗り (南部火消し伝統保存会)

義勇奉公 心に秘めて まもる郷土の 繁栄を
| 被写体 | 撮影場所・時間 |
|---|---|
| 矢の根 | 14日午前、八幡町(八幡下り集結時) |
| 外郎売 | 14日午前、八幡町(八幡下り集結時) |
| 関羽 | 14日午後、菜園通り |
| 諸葛亮 | 14日夜、材木町パレード |
| 南部重直 | 14日夕方、本町通(地元まわり) |
| 八島官女 | 14日夕方、本町通(地元まわり) |
| やまたのおろち | 14日夕方、福祉センター(初日の納車直前) |
| 朝顔売り | 14日午前、紺屋町 |
| 寿曽我 | 14日朝、長田町屯所出発時 |
| 揚巻 | 14日午前、八幡宮前待機時 |
| 雨の五郎 | 14日午前、八幡町(八幡下り集結時) |
| かむろ | 14日午前、八幡町(八幡下り集結時) |
| 暫 | 13日午前、肴町アーケード(試験運行休憩時) |
| 梯子乗り | 14日午前、八幡町(八幡下り集結時) |
文責・写真:山屋 賢一/音頭:さ組・城西組・二番組・盛岡観光協会・三番組・い組・の組・火消し保存会