※県名の無いものは岩手県の芸能です

 

北東北田植え踊りいろいろ

気仙の庭田植え踊り(鞨鼓踊り) 

 鞨鼓(かっこ)踊りといわれる。中年の男性が陣羽織を羽織ってほっかむりをし、小さな太鼓(鞨鼓、手太鼓)をたたいて半身を回転させながら踊る。太鼓は片手に構えてくるくると操り、いろいろなところを叩いてみせる妙技である。音声がかよわいので踊り手が田植え歌を歌ってフォローしているが、メロディーが多分にコミカルで、観衆の笑いを誘う芸能である。祝儀の披露や踊りの開始などを告げる役回りが2人いて、侍烏帽子に髭を描き、枝振りと呼ばれる鈴のついた木の棒を持っている。2人の掛け合いによる口上も面白い。

 通り囃子として『岡崎の曲』、本踊りとして「やっとこやあはい、正月は…」と始まる『正月』、そのほか多種の民謡手踊りをもってお花御礼に代えたりもする。

 

 


廿(にじゅう)(いち)の田植踊(宮城県気仙沼市)
 確認演目:『岡崎の曲』『正月』『春駒』『おいとま』ほか
 確認日時:気仙郷土芸能まつり(01.11.23 旧三陸町越喜来イベントホール)
 特記事項:すべてに笑えるコミカルな田植え踊りで、田植え歌の歌い方・型の決め方…など一つ一つに笑わせようとする踊り手の貪欲さを感じた。余興の『春駒』は、紅白の手綱を持って踊る。

(はらい)(がわ)の豊年田植踊(大東町)
 確認演目:『岡崎の曲』『正月』『おいとま』
 確認日時:大東大原水掛まつり(02.2.11 大東町大原商店街)
 特記事項:一般にこの系統において見られるような滑稽さはなく、物静かで優雅な印象が強い。スローペースの掛け唄も実に風情がある。大原水掛祭りにて午前11時から昼過ぎまで大原商店街、民家の庭などを門付けして廻る。厄年男たちが身を清める川が払川。

下内野(しもうちの)の田植踊(大東町)
 確認演目:『岡崎の曲』『正月』『夕暮れ』『おいとま』
 確認日時:大東大原水掛まつり(02.2.11 大東町大原商店街)
 特記事項:大原水掛祭りで門付けを行う田植え踊り。払川を静とするならばこちらは動、アップテンポで華やかな印象がある。始めに『正月』で舞い込んで、烏帽子に髭を書き加えた道化役2人の問答を交えながらお花を披露、『夕暮れ』でお花御礼とし、再び『正月』の曲で一踊りした後『岡崎』を演奏しながら次の家へと移動する。『正月』の上体の返し方が妙。

徳田(とくだ)の田植踊(藤沢町)
 確認日時:岩手県南宮城県北民俗芸能大会(03.6.8 一関市文化センター 大ホール)
 特記事項:応援団がよくやる3・3・7拍子を通り拍子にしている。歌がしっかり聞こえる点、動きが素朴だがきりっとしている点、太鼓を別につけて拍子をとりやすくしている点など、この種の田植踊りでは一般に伝わりやすいような演出上の工夫がよく出来た団体といえる。

 

(たっ)古袋(こたい)の田植踊(一関市)
 確認演目:『義経』『夕暮れ』ほか
 確認日時:一関市民俗芸能祭(05.3.13 一関市文化センター)
 特記事項:鞨鼓(手太鼓という)を持って踊る部分は少なく、陣羽織を着た「やっこ」と笠をかぶった早乙女が半々で混じるので、気仙の芸風そのままではない。軽快さ、歌のメロディーに気仙の田植えの雰囲気がある。やっこは奴踊りと同じような軍配を持って踊ったり、綾竹を持ったり。胴の謡う田植え歌がなんとも楽しそうで魅力的であり、同じメロディーでも歌詞が変わり、その中に牛若や義経のことが詠まれるのが『義経』や『義経手太鼓』である。烏帽子をかぶって千早を着た太夫が鈴を付けた棒を突きながら、お花の口上を行う。



文責:山屋 賢一

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〜大原の水掛まつり(岩手県一関市大東町)〜

 

 小正月行事と火防祭が合体したような行事で、毎年建国記念日に行われています。佳境の水掛行事は午後3時開始ですが、大原の町は朝から迎春踊り・鞨鼓踊り・出陣太鼓などで盛り上がっています。

出陣太鼓

賑やかな市街で見る鞨鼓踊りは大変華やかで、往時の雰囲気を髣髴とさせてくれます。

獅山清流太鼓
*大原水掛祭りの手踊り(一関市大東町)
 手踊りないし組甚句、あるいはおいとこ踊りと呼ばれる。大原水かけ祭りで朝9時から昼の3時ころまで断続的に門付けを行う10数団体の手踊り組。店先や庭先で踊るほか、商店街に面した民家の座敷を借りて踊ることもある。江戸時代の明暦の大火には「遊女の放置死体が着ていた振袖から出火した」という噂があり(ゆえに「振袖火事」という)、火防せ祭りへの女性参加を縁起が悪いとして忌み嫌う風習が出来た。厄祓いと火防を併催する水掛祭りにおいて、女33歳の厄を払うために始まったのが女装おいとこ踊りなのだそうだ。もともと木更津で流行していた「おいとこ」が街道筋から伝わって大原に根付いたのは昭和初期で、赤い襦袢に下駄履き、白粉に口紅を引くという女装の基本はもとより、踊り手の創意工夫によってさまざまな仮装がなされてきたようである。現在も、七福神のような伝統的な仮装からアニメキャラクターまで幅広い。祝い唄の『献囃子』で舞い込んで、『おいとこ』『岩手小唄』『俵つみ』『卵』『桃太郎』などをランダムに演じる。お囃子は太鼓の片面打ち、組によってはチャンチキのような金属楽器がつく。荒削りで素朴な踊りだが勢いがあり、場の雰囲気を良く盛り上げている。