石鳥谷熊野神社祭典山車 平成21年9月8・9・10日運行 
盛岡の山車に古くから歌い継がれる音頭上げを添えて






歌舞伎十八番の内 毛抜/錦の前(中組)


中組若衆引き出す山車は さても見事な毛抜なり

 小野家のお姫様「錦の前」の髪の毛がひとりでに逆立って、お嫁に行けないと困っている。原因を探りに来た粂寺弾正は、金物の毛抜きや小柄がにわかに動き出したのを見て、なぜ姫の髪が逆立ったのか、奇病の真相を見破る。平成二年は弾正の元禄見得、天井で姫の簪を磁石で釣っていた曲者を槍で組み伏せる姿が平成十一年、今回は踊り出した毛抜きをにらみ、事の真相に気付く弾正の姿を飾った。盛岡では出てこないが、これも市川歌舞伎十八番のひとつである。

朝日輝く 熊野の祭り 商売繁盛の 守り神
見得は弾正 大江戸歌舞伎 踊る毛抜きの 謎を解く




見返し 錦の前





雨の五郎/女暫(上若連) 

 

演題紹介

花の色町大磯通い 春の装い化粧坂

廓五郎と あで名を残し 見事本懐 遂げし曽我
花町通いも 仇討つためと 心秘めたる 伊達男



見返し 女暫



写真提供御礼






歌舞伎十八番の内 暫/はなぶさ執着獅子(上和町組) 

演題紹介

三枡広げて元禄見得に 魔除けの睨みに吉を呼ぶ

音に聞こえし 歌舞伎の花よ 八百八町 ひとにらみ
江戸の霜月 顔見世歌舞伎 市川ゆかりの 見得の佳さ




見返し 英(はなぶさ)執着獅子





歌舞伎十八番の内 押し戻し/りんご娘(西組) 


西組『風流 押し戻し』、どてらには鯉の柄


 名役者のひとにらみには悪魔を退ける霊力が宿っているといわれ、古来より舞台に妖怪・魔物が現れたときは団十郎が高下駄で舞台に蹴こみ、大きな青竹で舞台を祓う慣例があった。人心荒廃の現代を、押し戻しの正義の力で祓い清めてほしい。

家宝水破の かぶら矢いずこ 悪霊どもを 押し戻し
剛と忠義の 朱間の五郎 竹抜きかざす 花の道





古事記 八岐大蛇/くしなだ姫(下組)

醸すヤシオリ大蛇を誘い 尊の御佩刀 国護る

 弟のスサノオの乱暴狼藉を怒ったアマテラスは天岩戸に篭ってしまい、天界は常夜の闇となった。スサノオは天界のすべての神々から嫌われて、魔物のすむという地上界に追放されてしまう。絶望のスサノオの前に一人の美女が現れ、スサノオは恋をする。しかしその美女は今夜、恐ろしい魔物の餌食となって命を落としてしまうという。スサノオは愛しい人を護るため、ヤマタノオロチと戦う決心をする。

酒を与えて 尊の刃 大蛇討たんと 出雲原
大蛇退治の 神代の話 串を捧げて 祀る山車




『見返し 奇稲田姫』、大蛇の元に酒壺を据える場面

 

 

文責・写真:山屋 賢一/音頭:歴代南部流風流山車組遺産より・一部石鳥谷各山車組による
※「写真提供御礼」キャプションの写真は、読者の皆様より提供いただきました。御礼申し上げます。



※石鳥谷熊野神社祭典山車歴代演題

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