もりおか歴史文化館開館

 


 旧県立図書館の建物を改装した「歴史文化館」がこのほど開館し、新作9メートルの盛岡山車『和藤内/錦祥女』が公開されました。これをきっかけに、今後盛岡山車がもっともっとたくさんの人に注目され、愛され、支えられるようになってほしいと願っています。
※写真を押すと、演題解説ページが出ます。

9mの「復刻山車」の人形部分

 山車人形『和藤内』は端正な顔立ちで見事に完成されています。なぜ和藤内かというと、背の高い時代の山車趣向を詳細に調べた結果、和藤内が最も多く採り上げられていたからだとか。古態を模して天井に松を飾らず桜とともに脇にささやかに散らし、代わりに立ち岩を大きく立体的に改めています。露天状態ゆえの、従来に無いダイナミックな笠のかざし方となりました。

9mの「復刻山車」正面全景
9mの「復刻山車」背面全景

 運行はされませんでしたが、お囃子方が乗って太鼓をたたきました。太鼓のすぐ上は紅白幕で、人形は高い高い岩の上にあります。そのため人形部分は囃子があっても無くても外観変わらず、超然としているように感じました。横波や演題立て札も無く、飾り方は非常にシンプルです。
 特に見返しを見ると、現代の山車がいかに華やかかわかります。目線は現代のセンスで作れば下方に向けたほうが効果的なのでしょうが、この山車はあくまで復刻なので正面静止とし、人形の魅力だけで勝負を試みています。

9mの「復刻山車」見返し
館内展示の現在の山車『花咲爺』

 見返しは復刻・現代とも過去の作品のリニューアル版で、華やかに化粧直しされてお披露目されました。お姫様の髪飾りが派手になったのは、八戸山車と同じ「高いところでも映えるように」との理由かもしれません。背景の作り方についても、当時と今とでは大きく重点が異なり、現代とは違った工夫が功を奏すような気もします。
 なお、現代の山車の方は表が連獅子・見返しが花咲爺で、昭和53年盛岡観光協会初出場のときの演題を、平成の技術で再作したものです。

館内展示『連獅子』
戦前の絵紙の図柄も多数展示
背景の滝には「紅の流れ」が

 館内には山車2台のほかにも、盛岡山車好きを楽しませるさまざまな工夫がありました。会館では、書庫に明治42年以来の古番付約360点を保管していますが、このうち戦前の白黒絵紙が10枚程度プレート化され、いつでも鑑賞出来るようになっています。平成22年の準備・本番の様子を中心に編集された、盛岡まつりのビデオも流れています。お祭り限定の企画展スペースもあり、八幡宮祭典期間中どうなるか楽しみです。

(平成24年10月23日に公開いただいた資料)希少な戦前の絵紙帯
昭和40年代の絵紙、電話局のチラシとともに
尊皇党本部、招魂社の山車




文責・写真:山屋 賢一

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