雨の五郎 い組
@盛岡八幡町い組昭和56年、白装束巻物あり→A石鳥谷上若連昭和58年→B沼宮内新町組昭和60年→C盛岡八幡町い組、巻物を除く(昭和61年)→D盛岡さ組平成4年、E盛岡の組平成9年 C盛岡八幡町い組、黒衣装で作る(平成元年)→D石鳥谷上若連平成3年 文責・写真:山屋 賢一

雨の五郎は「廓通いの五郎」とも呼ばれ、五郎とは仇討ちに赴く曽我兄弟のうち、弟の曽我五郎時致を指している。色男の五郎は敵の目を欺く為に、毎夜毎夜めかし込んで花町に通った。馴染みの遊女「化粧坂の少将」の恋文を両手にだらりと垂らし、紫頭巾に金糸銀糸の羽織、黒に赤い鼻緒の下駄を履き番傘を差して吉原に駆け出す姿はこの上なく粋で、男ながらの色気を感じさせる。

※い組『雨の五郎』の伝承経路(下記の流れが傍からさらに模倣、修正された)

雨の五郎に対応する見返しとして、い組は長らく『かむろ(禿)』を飾ってきた。かむろとは、花町で遊女の世話をする下女のことで、赤い着物を着た少女の姿である。ただ赤いだけではつまらないので、若梅の刺繍が両袖に入る。い組のかむろは五郎に遊女からの手紙を届けにいく姿をイメージしているため、黒い文箱を手にしているが、他の組ではこの構図をほとんど真似ておらず、羽子板を持った『羽根の禿』を雨の五郎とは無関係に作っている。
廓通いも 仇討つ為の 艶を含んだ あで姿 い組(盛岡市)
纏う黒繻子 吉原通い 今宵霞の 雨の五郎 城西組(盛岡市)
八重に九重 十八番の歌舞伎 花の姿絵 当たり芸 上組(紫波町)
廓五郎と 艶名を残し 見事本懐 遂げし曽我 三番組(盛岡市)
花の色町 大磯通い 春の装い 化粧坂 い組(盛岡市)ほか
※八幡町い組「見返し 禿」
色香も知らぬ 吉原育ち 運ぶ文箱は 恋の文
梅のすがたも 静かに濡れて 仄かな色香 春の宵