主に岩手県内陸中部(たとえば盛岡市など)の秋祭りに出てくる
山車(だし)について紹介します
いずれも年ごとに飾りを替える山車なので、どの年も見逃せません
ここに紹介している山車は、書いている時点での「来年」には
すでに見られなくなっているものばかりです

こういう山車は、岩手に限らずありますが
盛岡地方には当地なりの特色があります
ごく単純に言うと、
ごく限られた飾り物で、ごく限られた人物数で山車を作ります
そこに、限ることによる美しさとか品があるのが良いです

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これは武者ものの山車です(ちょっと花が多めですが)
「風流 四条畷(しじょうなわて)」といって、
楠木正行(くすのき まさつら)という若い武将の奮戦の様子を作っています
いかに奮戦だったか 例えば馬を下りているし、兜を脱いで手前にかざしています
これは、敵からたくさん射られてくる矢玉を除けるためです
この武将はこの戦いで戦死しました。その経緯は、大変胸に迫るものがあります

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山車の背面の飾りを「見返し」といいますが、
この山車の見返しにわずかながら、
その悲しい経緯についてヒントのようなものが示されています

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四条畷の山車は盛岡地域が残しているいわば伝統の型ですが(大正の末くらいには今と同じ構図が出ています)、
同じ構図を手本に作ってもこういう風に違いが生まれます

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構図自体に工夫を加える例もあります
(どこに工夫が入ったかわかりますか?)

同じ題が重なることは、そもそもは良いことではありませんが、重なったなりに面白いこともあるということで


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組み人形の武者ものだとこんな感じです
鎧は史実とは違いますが、キラキラした感じがお祭りらしいです

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表は義経、見返しは恋人の静御前で、表裏で物語がつながっています
表は男で勇ましい戦の場面、見返しは女で華やかな踊りの場面、と緩急があります

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武者を馬に乗せるとなかなか勇ましく、豪華に見えます



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こういう山車は歌舞伎ものといいます
題材は「義経千本桜(よしつね せんぼんざくら)」という江戸時代の有名な脚本で
なかの一番華やかな「伏見稲荷鳥居前の場(ふしみいなり とりいまえのば)」を作っています
人形の顔には、隈取り(くまどり)という歌舞伎独特の化粧が施されています

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歌舞伎山車が並ぶと、実に華やかです

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これは隈取りがない分、豪華な舞台装置を再現した歌舞伎ものです

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見返しに歌舞伎の女形を飾ると、すごく綺麗です

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こういう男物や複数立ての歌舞伎見返しは変わり種です



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歌舞伎でない見返しだと、こんな感じになりますか



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こういう大きな動物をあげた題材はインパクトがあって、楽しいですね



こういう山車の題材は、ざっと200くらいあります
200全部に一度には出会えない
思いがけない出会いと、思いがけない出会わなさが後を引きます

一期一会(いちごいちえ)のおまつり
(文責・写真:山屋賢一)


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